小田原 理さん(エクセン株式会社)

小田原 理 さん
機械工学科 平成30年度(2018年度)卒業
エクセン株式会社
生涯成長

私は2019年春に機械工学科を卒業し、東京都に本社をおくエクセン株式会社の草加工場(埼玉県)にて、設計技術者として従事しています。弊社の事業はコンクリートバイブレータをはじめとした建設機械・一般産業用機械、環境機械の設計製造販売です。私自身は、お客様から依頼された仕様の特注品を設計し、図面を作成することを中心に取り組んでいます。
エクセンは社員のスキルアップを支援しており、各種資格の取得奨励制度や特許出願の積極的なフォロー等を行っています。私も今年、コンクリートの省人化打設システム「ELSS」で入社3年目にして特許を取得いたしました。クレーンで吊るされた筐体から出たバイブレータが生コンを自動検知し、作動と停止を行う製品で、製品化の過程で多くの知識や達成感を得ることができました。しかし、本来の業務とはやや異なる分野の仕事で、特有の難しさや主となる業務との並行作業になることでの苦労もありました。
あれもこれも手を付けてしまうと、結局どれも進まず八方塞がりなんてことがしばしばあります。社会に出るまでは『仕事ができる人』=『多くのタスクを同時に処理できる人』だと認識していました。しかし、広義的には『仕事ができる人』とは『一つ一つの仕事を早く正確にこなす人』でもあると思います。まずは、“一つ一つしっかり”の意識を持つことが非常に重要なことだと思います。
我々が従事する機械の分野は非常に多岐に渡り、高専ではそれを広く学べます。得た知識から自分に必要なものを選び、鍛えることは、就職してからでも十分にできます。私も高専で学んだ金属材料の知識やCADの使い方がそのまま社会で通用したかと考えれば、十分ではありませんでした。学生と社会人では知識の捉え方の違いがあるのかもしれません。例えば、金属材料でいうと、材料の名前や組成を覚えていればテストの点数は取れますが、しっかりその意味まで理解していれば、初めて聞く材料でも機械的性質がなんとなくわかります。そういった違いは社会に出てからでないとなかなか気付けないことかもしれません。
知識をただ詰め込むだけでなく、本質を理解する力と理解しようとする癖を身に付けることが大切だと思います。

令和3年(2021年)12月17日寄稿